公衆衛生を学んでいますが、他国の医療を肌で感じないことには何かしっくりきません。
2025年6月、ペルーでの医療ボランティアに参加し、日本との違いを実感。「会議室じゃなくてやっぱり現場だ」と改めて思いました。
もっと学びたいと思っていたところ、偶然目にした日本の国立健康危機管理研究機構(JIHS)のベトナム研修募集。ダメ元でアメリカから直接現地合流を打診したら、まさかのオッケー。ありがとうございます。プロジェクトマネジメントを身をもって学べる絶好の機会です。
というわけで、ワシントンDCからベトナムの首都ハノイへ。
研修場所はハノイ近郊のホアビン省。ちょうど、省の合併と再編で劇的に状況が変わっているところのようでした。
ベトナム到着早々、やってしまいました。
ロングフライトで深夜着、疲れ果て声をかけられたタクシーに搭乗…絶対やってはいけないパターンです。案の定、途中で料金が増額。
値引きしてなんとか当初の金額に抑えたと思ったら、お釣りが200,000ドン返ってくるはずが20,000ドン!自分でも書いてて桁数がよくわかりません。
桁数違い詐欺、、、やられた。まぁ、勉強料ということで。
翌日はスクーターに2人乗りしたのですが、なぜか自信たっぷりのおじいちゃんは平然と反対車線を爆走。ルールは存在するものの、市民生活と乖離している部分は市民の判断でゆるく無視されている印象です。
現地の方によれば、ベトナムの方は「気質としてゆったりしていて臨機応変。多少のことは気にしないが、現場の対応力は抜群」とのこと。なるほど、これは現場でも大いに役立ちそうな情報です。

医療制度は完全な縦割り構造。公的医療制度が中核をなしています。
コミュニティヘルスセンター(基本的な医療サービス、予防サービス)→地区レベル病院→省レベル病院→中央レベル病院と紹介されていきます。ペルーと似ています。
このサイトが素晴らしくまとめられています。
ただし省の再編でこの紹介経路が変わり、競争の激化の可能性あり。管理職の方たちは強い危機感を抱いていました。
無事に日本チームと合流。アメリカからの私は時差ボケ全開の中、安全管理チームに配属となりました。
予定では電子カルテの検証ですが、事前に現地からの資料が届かず不安を感じながらの現地入り。
いざ、病院で会議開始。そこで、現地の安全管理チームから意外な申し出が。
「安全管理のプロジェクトテーマをトイレにしたい」
え、トイレ?
最初は驚きましたが、実際に確認するとこれはとても根深い問題でした。
事前に「ベトナムの病院のトイレはとても汚い」と聞いていましたが、現場を見ると想像以上です。
患者さん用のトイレの便器は詰まり、手洗いの水道は壊れて流れない。床は水洗いのためか常にビショビショ、排水口も詰まり気味。入口には吸水マットがわりのタオル?がぐちゃぐちゃになって落ちています。
確かにこれでは、濡れたままの靴でトイレから出て行かざるを得ません。
「掃除すればいいのでは?」と思いましたが、そこで気づきました。

トイレが汚いという問題が起こるのは、すなわち適切な使用・清掃・チェック管理機構・インフラ維持が一体となって回る必要があります。
きれいに使っているのか?きれいに掃除したか?掃除方法が適切か?掃除の回数は?いつ掃除するのが適切か?誰か確認しているか?そもそもきれいの基準は?床を水洗いせざるを得ない構造では?乾きにくい構造では?壊れた設備はいつ修理されるのか?そもそも誰が故障に気づいて対応するのか?
それがうまく回っていないから慢性的にこうなってしまうのです。すなわち、「ある問題の原因が個人に起因することは少なく、システムの問題であることがほとんど。」の原則が大きいわけです。
続きは後編で。




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