非常勤勤務におけるさまざまな困難を前回書きましたが、経済面・心理面に並んで大きな問題になるのがキャリア形成です。
信頼される仕事を任されにくいのは、致し方ないと思います。 仕事を頼む側も、24時間変化する患者さんのことを24時間考えてくれる常勤医師を優先します。
そこでふてくされても仕方ない。
方針は3つ。
1. 手術への積極的参加
2. 専門医を取得
3. 論文作成
常勤も非常勤も、キャリア形成の道は一緒です。
1. 手術への積極的参加
まずは職場での仕事を増やし信頼を勝ち得る、そのためには一つ一つの仕事を丁寧に行っていくしかありません。
I long to accomplish a great and noble task, but it is my chief duty to accomplish small tasks as if they were great and noble. (私は素晴らしく立派な仕事を成し遂げたいと思っているけれど、私が主にやることは小さな仕事を素晴らしく立派な仕事と同じようにやり遂げていくことだ。)
ヘレンの困難に比べれば、非常勤の苦労なんて困難の内に入りません。
そして、努力しないとできないのが非常勤中の手術です。手術の情報を積極的に入手し、できれば入りたい!と主張していきましょう。小さな手術参加の積み重ねは、後の専門医の取得において思いがけず役に立ちます。
2. 専門医取得
非常勤中も専門医取得を目指すのは、とても助けになります。
学会の専門医はいろいろ批判もありますが、やはり医師の質を保障するのに必要な経験量を、先人たちが知恵を絞って明文化しているものです。専門医取得に少しでもつながる経験をしようと意識すると、自分の意識および勤務への姿勢が変わり、効率的な動きになると思います。
非常勤の期間を専門医取得の際の勤務期間から外そうとする動きもありますので、必ず確認してください。
日本外科学会専門医は、常勤か非常勤かは規定していないようです。
3. 論文作成
非常勤中、論文作成を行うのも重要です。
非常勤で勤務先のデータを使わせてもらうのはなかなか難しいですが、常にアンテナを張っていれば、必ず何か引っかかってきます。
非常勤中は専用デスクがないためくつろぐ場所がないことが多いですが、むしろ緊張感を持って外来の隙間に論文や学会発表の準備を進めていきましょう。そうすると、非常勤が終了し家で皿を洗っていても、頭の中で常に考えることが出来、大いなる心の刺激になります。
僕はこのキャリア形成から外れる・外されてしまうかもしれないという不安感が、日本における育児休暇取得を妨げる大きな理由ではないかと考えています。
さまざまな事情で非常勤勤務になった際、とにかく前に進む。不安を取り除くにはそれしかないと思います。
You have set yourselves a difficult task, but you will succeed if you persevere, and you will find a joy in overcoming obstacles.
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