外科医として働く一方、隙間時間に研究活動、そして育児と家事に奔走する毎日。ふとよぎる思い。
俺、何してるんだろう・・・
市中病院でこれというデータも集まらず学会発表も難しく、時間に追われる毎日。アカデミアに在籍する友人たちの学会発表の話を聞くと、心にもやっとしたものがよぎります。
そんなモヤモヤした気持ちの中で、ある時ふと思いました。
「あれ?俺って子育てと外科の両立に関してはスペシャリストじゃない?」
Googleってみると、外科医で子育てを頑張っている方は多数いらっしゃいますが、それに関しての発表は少ない。ちなみに私は男性ですが、男性外科医の発表となると皆無です。
これは・・・「子育て」と「外科医」の二刀流と名乗れるのでは?
というわけで、本当に自分が子育て外科医と名乗れるのか、まずは地方会で発表してみました。
発表はたまたまみかけた医療マネジメント学会の福岡支部会。抄録は文末に。
反応は上々(多分)、そして同じような競合者は皆無です。
となると、よし全国だ!
気分は陵南を倒し全国出場を決めた湘北高校です。
舞台は横浜、なんと神奈川県。気分は完全に桜木花道。
発表しました(抄録は文末)。
非常に好意的かつ同情的な温かい反応(「外科って大変ですよね・・・」)。そして同じく競合者は皆無です。
どうも俺はかなりの変わり者らしい。
なお、学会発表の結びで、「社会の変化が加速することを期待する」とお決まりで述べていました。しかし、学会発表だけだといわゆるフロー型の情報。ストック型の情報を目指し本ホームページを立ち上げました。
以下にフロー型・ストック型情報に関してまとめてます。参考まで。
もちろん少年漫画っぽい挫折も多数ありましたが、それはあえて語らず。
私に勇気をくれたSLAM DUNK、打者と投手の二刀流でオンリーワンを体現する大谷選手、ありがとうございます。
日本医療マネジメント学会 第21回福岡支部 学術集会
外科医勤務において子育て両立で直面した現実的課題とその解決
働き方改革で勤務体制の多様性が求められる中、子育て世代外科医の勤務で生じてくる現実的課題は個人的努力で解決されることが多く、論じられることは少ない。
従来からの外科医の勤務体制において、子育てと相性が悪いのは①術者としての立場②手術時間の曖昧さ③夜間の急変である。手術は専門性が高く患者との信頼関係から他の医師への代替は難しい。一方、子供の急病怪我による呼び出しや看病は子育てにおいては日常茶飯事である。手術時間は病変の進行、患者の状態から手術時に大きく変化し、保育施設の利用において問題となる。夜間の急変での呼び出し時に、子供を預かってくれる施設やサービスは存在しない。
これらの課題の解決には、病院・当直医・家族・同僚の協力、サービスの導入が必須である。明確な解決策はなく、個人間の差が大きい分野であるが、情報が積極的に発信されることで意識・社会の変革が進んでいくことを望みたい。
(©️日本医療マネジメント学会 2023, 学会事務局の許諾を得て転載)
第25回医療マネジメント学会学術総会
子育て世代勤務医の育児に発生する現実的課題と病院による解決策―男性外科医からの視点
働き方改革が叫ばれ急激に社会構造が変革していく中、これまで時間外労働が当たり前であった医療界においても変革が求められている。働き方改革で勤務時間の短縮が求められる中、その結果得られた時間は共働き世帯においては家事育児の分担に費やされることが望ましい。しかし、外科医がその中で直面する現実的課題は、これまで個人的努力で解決されることが多く論じられることは少なかった。今回、子育て世代外科医における2つの勤務形態、非常勤と常勤のそれぞれにおいて生じうる問題点および対応策を、小―中規模病院で実際に行われた事例をもとに論じる。
まず、非常勤で発生する問題は大きく3つ存在した:①金銭的不安②技術の維持③モチベーションの維持。これらは、①当直を勤務に組み合わせる②常勤医の協力による術者経験③専門医資格の積極的取得継続で対応した。
ついで、常勤で発生する問題点は非常勤と大きく異なり、大きくは契約時間外の業務への対応であった。対策はさまざまではあるが、職場内における仕事分担の明確化と相互扶助、厳格な主治医制でなく時間枠で決められた外来での対応、当直医および休日当番医への全権移譲によって対応が行われ比較的機能したように思われる。
その一方、職場内における仕事の不公平感の解消をいかにすべきかを含め解決すべき課題は多い。また、組織・個人での差が大きい分野であり、画一的な対応でなくそれぞれに合った、それぞれの希望を踏まえた形へ調整する必要がある。
今後、実際に各医師が直面する問題・対応策が積極的に発信・共有・議論され、意識や社会の変革が一層進み、さまざまな働き方が受け入れられる社会となっていくことを望みたい。
(©️日本医療マネジメント学会 2023, 学会事務局の許諾を得て転載)