エディターをやっていて、1番大変であり醍醐味でもあるレビュアー選びについて。
まずアカデミックエディターの仕事は、Editor-in-Chiefが割り振った論文が届くところから始まります。
届いた論文を確認します。
この時点で考えるのは、論文の整合性が取れているかどうか。 基準は雑誌とエディターによって様々と思いますが、 僕は明らかに飛躍した内容、自己陶酔しきって結論無茶苦茶なやつ、誤字脱字だらけのものを取り除きます。あまり社会的なインパクトとか 雑誌にふさわしいとか、そういう事は考えません。
学術的な論文と言えるだろうと判断したら、 レビュアー選びに移ります。
選び方には3種類ほど方法があります。
1。 自動検索サービス
よくできたもので、それぞれの雑誌にレビュアーの自動検索システムがあります。 そこには、世界中の研究者の名前はもちろん、 どのぐらいレビューを頼まれてどのぐらい却下したのかも全部出てきます。 論文の内容に近い研究者を雑誌が選んでくれるので 楽ちんです。
難点は、決して受諾率が高くないこと。 20人から40人にお願いして、1人見つかる位です。
2。PubMedで手作業で探す。
1番成功率の高い方法です。関連するキーワードで検索し、同じような論文を書いている先生に依頼します。
これは成功率が高い。印象的には10人から20人に送って1人見つかる感じです。難点は、メールアドレスを調べ登録したり、とても手間がかかることです。
3。論文自体の参照論文の著者に連絡する。
これも手間がかかりますが、論文の参考文献の著者のメールアドレスを調べ、依頼を送ります。
成功率としては上記のPubMed検索と同じくらいでしょう。注意点としては、利益相反にひっかかる著者が結構紛れています。10年以上古いものだとすでに研究者が引退していたり、分野への興味を失っていたりすることがあります。
4。知り合いに頼む。
「この方法をまず最初に行うべき」とエディターがらみのサイトでは書いてあるのですが、僕の印象としては1番成功率が低いです。ただ意外と、断られたら断られたでその後の会話のネタになったりもし、挨拶がてらやってみてもいいでしょう。
上記の方法でレビューアーにアタック、後はひたすら待つのみで、概ね6−10日間くらいを返事待ち期間としています。
しかし、基本的に返事は来ません。5人に一人くらいが「decline」をクリックし、私に通知されます。「Accept」率は上記の通り、10−40人に1人ですが、100人に送ってやっと1人見つかったこともあります。
めでたく「Accept」いただけた際に、今度は出来上がったレビューが届くまで何日待つか。おおむね10日−14日に締め切りを設定します。 これは僕の感覚ですが、短すぎるときついし、長すぎると今度はダラダラしていつまでもやらない危険があります。
どのくらいで戻ってくるかは人それぞれ。むしろ締め切り以内にきちっと返してくれる人の方が少ないです。
半数以上の人が締め切りを過ぎて催促して、やっと送ってきてくれます。
そして最終的に レビューを引き受けたのにレビューしてくれない人たちがいるんですが、僕としてはこれは最も困る対応と言えます。これに関してはまた後日書きたいと思います。
レビューが届いてからがエディターの醍醐味というか、さぁどうするという面白いところ。 食材が届いて料理をする感じです。
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