病気の時は全て崩壊します。 How to manage the crisis coming from kids’ sickness.

投稿者: | 2023年11月15日

子育て外科医にとって最も恐ろしいものは何か?それは病気です。

患者さんの病気ではありません。自分の子供の病気です。患者さんは病気を持っているものなので、大変ですが別に恐ろしくはありません。

なぜ自分の子供の病気が恐ろしいか?それはこれまで散々書いてきた、さまざまな子育ての壁への対策すべてを崩壊させる力を持っているからです。なお、ここでは慢性疾患でなくいわゆる感染症について書いております。

子供の病気が発覚するのには2つのタイミングがあり、勤務中か勤務時間外でそれぞれ対応が異なります。

1。勤務中

職場に電話がかかってきます。「保育園/幼稚園/小学校です。熱が出てます。迎えに来てください」と容赦ない連絡です。私も熱が出そうになりますが、落ち着いてまず交渉します。状況は?緊急性は?何分くらい待てそうか?こちらの仕事の事情もダイレクトに伝えます。その上で、待っててもらえる時間が判明次第、職場との交渉です。通常、「はい、さよなら」と帰れるような職場ではありません。

まずは手術の確認です。手術の助手を予定している場合は交替が見つかることが多いですが、 自分が術者の場合は何としても何とかするしかありません。状況によっては術者交代もやむを得ませんが、患者さんとの信頼関係のためにも自分自身でなんとかしたい。手術開始時間を早めてもらうのも手でしょう。ただし、手術自体に関しては焦って行うようなことは絶対にしません。心を平静に、いつも以上の完璧な手術を心がけます。

手術がない場合は、外来や委員会等の代行や欠席の手続きを行います。とにかく正直にこちらの事情を伝えます。

それが一通り終わるのに早くて30分。 長ければ・・・。そこからお迎えに猛ダッシュです。

迎えに行き次第、できるだけ小児科に連れて行きます。保育園側が最も気にするのは、何の病気か?感染性は?であり、結果に基づき対策を打つ必要があります。翌朝までには受診し、病名・感染性・登園可能の見込み・再診の必要性を確認します。インフルエンザ検査などもかかっていないことを客観的に証明できるため出来るだけ受けます。

その上で、家で看病です。

もちろん配偶者や他の家族が迎えに行ければ、それに越した事はありません。子供の病気で厄介な点は、感染のリスクがあるため近親者以外には誰にも頼めないことです。よって、これまでお薦めしてきた公的・私的サービスは一切使えず、身を削るしかありません。

こういった時のため、もっとも使いやすいながら最終手段である家族内メンバーの余力は、常々温存しておきましょう。

2。勤務時間外

夜に何か熱っぽい。吐いた。お腹が痛い。朝起きたら熱があった。

このように判明します。この際も、できるだけ病院を受診し原因をはっきりさせます。保育園と今後の相談がすすみやすくなります。

この際には、自分が医者だとしても、自分で判断しないようにしています。自分はあくまで患者の家族であり、判断というのが決して客観的にはなり得ないからです。往々にして、まぁ大丈夫だろうと過度に楽観視するか、逆に過度に心配しすぎるかどちらかになりやすい。必ず他の医師による客観的評価を踏まえます。

夜であればまだ良いのですが、朝であれば緊急を要します。家族内で緊急会議を行い、非常事態を宣言します。病児保育サービスの手配、もしくは家族内での人員の配置を行います。

病児保育の手配は大変です。朝の受付開始の8時ごろに、コンサートのチケットを取るくらいの勢いで電話をかけまくります。全くつながりませんが、ここで心くじけてはいけません。30分は頑張りましょう。満員のこともよくありますが、三カ所にかけるとほぼ見つかります。あきらめないことです。

自分の職場にはできるだけ早く、家族の事情での遅刻を電話で伝えます。概ね、1時間以内の遅刻ですむことがほとんどです。到着後は、迷惑をかけた方達にお礼を言って周ります。

この、病気の子供の預かり先が病児保育以外にない、もしくは家族の誰かが身を削るしかないのは結構辛いです。自分の職場が病院ですから、預かってくれたらいいのになぁと常々思います。

※関東圏では病児用のベビーシッターサービスが出現してきているようです。ぜひ、全国拡大お願いします!

子供の病気が治るまで、緊張は続きます。通常3日から1週間ぐらいでしょうか。病児保育はお迎え時間がとても厳密で、終了時間10分前に着いていないと大体電話が鳴り響きます。迎えが遅れたら、病児保育の職員の方に残業を強いることになるわけですから、致し方ない。この際も、自分の職場と正直に話して、「病児保育で迎えに行かざるを得ない」ことを伝えます。

しかし、ここで感じるのは、家族・子供の病気は多くの方が経験してきたことなので、思った以上に理解が得られやすい。無理をせず、正直に自分の状況を話すと温かく対応してもらえ、そして逆に自分も同じような状況で温かく接してあげたいと思うようになるわけです。

「相互扶助」の精神というのはとても大事だなと感じます。