世界(子育て)を変えるのは対立でなく融和Reconciliation will change the world and child-rearing.

投稿者: | 2024年7月1日

Daddy Surgeonとして世界を少しでも変えるべく、第26回日本医療マネジメント学会学術総会で発表してきました。

舞台はわが街、日本の福岡です。実は会場は家から自転車で行けます(行きました)。福岡は自転車圏内にほぼすべてが存在する、暮らしやすい街です。

学会は多くの参加者でとても熱い雰囲気でした。少子高齢化や働き方改革で課題山積みの日本の医療ですが、それを良くしていこうという熱い情熱を持った多くの参加者。必ず日本はよくなると感じました。

私の発表内容ですが、今回は外科系医師13名(発表時は14名)にアンケート調査を行い、育児に関しておたずねしました。

はじめに断っておきますが、本発表のアンケート対象は極めて偏っています。なぜか?質問者である私が、「聞いても問題なさそう」な人にのみアンケートしているからです。

ということは

①話しかけやすい ②アンケート中にイラつきそうにない ③育児と聞いて過去の不幸な思い出がフラッシュバックしそうにない ④私と口を聞きたくない(冗談です)わけではない

人にのみ聞いております。

かつ質問者が私。ということは、「私が恣意的に誘導する危険がある」アンケートです。

当然、かなり私好みの結果になっていると思われますのであしからず。でも、すべての発表を見るときに、そういう目線が必要だと思います。

そんな中で少し意外な結果がありました。多くは語りません。文末に掲載した抄録の「結果」を読んでみてください。

とかく「男性」「女性」の2極論で語られがちですが、僕は相互に心を痛めている方たちがたくさんいて、対決姿勢でなく皆が幸せになっていく道を探したいと常々思っています。現在の世界に起きがちな対立構造に持っていく形でなく。

第26回医療マネジメント学会

外科系医師の子育て両立への懸念事項および現実的対処法:アンケート結果より

(目的)働き方改革は少子高齢化で労働者人口の減少に悩む日本で、できるだけ多くの労働者を健康に長く勤務できるようにするための苦肉の策と考える。成り手不足から医師の高齢化にあえぐ外科においても、同様の問題が生じている。外科医の成り手を増やすために必要とされるものは何か。共働きが当たり前となっている現在の若者に対し、子育てとの両立への不安を和らげるため改善すべき点は何か。問題点を洗い出すため、子育て中ないし経験した外科系医師にアンケート調査を行った。
(方法)30−50代の子供のいる一般外科、整形外科、心臓外科医師13名(女性3名、男性10名)に、育児に関してアンケート調査を施行した。
(結果)約8名の医師(女性3名、男性5名)が、子育て中の夜間休日の呼び出しに強い不安を抱いていた。不安を示さなかった5名の男性は、すべて配偶者の仕事を制限ないし専業主婦の状態で子供の世話に対応していた。3名の男性医師は、子供に深く関われないこと、配偶者への負担が偏在していることへの罪悪感を示していた。実際の呼び出しへの対応は、チーム医療や親族への依頼、それらが困難な際は子供を職場に連れて行くことで対応していた。
(結論)子育て中・経験した外科系医師のほとんどは、夜間休日の呼び出しに強い不安を抱いているか配偶者の仕事を制限することで対応していた。実際の対処方法として、チーム医療が導入されている病院は少なく、個人的努力に大きく依存している状態と言える。子育てとの両立の難しさが成り手不足の原因とは言い切れないが、アンケートで得られた外科医の子育てへの強い懸念からは、状況改善による外科医師のQOLの上昇は魅力向上の一助になるものと考えている。

(©️日本医療マネジメント学会 2024, 学会事務局の許諾を得て転載。)

※本発表にあたり、すべてのアンケート対象者に匿名でのデータ使用に関して事前に同意いただいたきました。ありがとうございました。