やっぱり会議室じゃなくて現場。:医療ボランティア in ペルー② Voluntario Medico en Cuzco de Perú_2

投稿者: | 08/04/2025

ペルーのクスコでのボランティア生活が始まりましたが、Maximo Nivelの担当者のご好意で地元の病院見学に行けました。本来だとボランティアの立場では行けないそうですが、外科医なら手術を見たいだろうと気を遣っていただき。ありがとうございます。

ペルーの医療制度ですと、基本的にクリニックの紹介状がないと現地の病院にはかかれません。しかも病院は1日の診療人数制限があるとのこと。朝8時に病院前にすでに長蛇の列です。

病院に入ると、外傷患者さんが廊下にまでベッドを並べて溢れています。救急は紹介状なしで病院への搬送可能とのこと。廊下に並べられたベッドは、日本だと被災時にしかお目にかからない風景。

救急医療体制が都市の規模に対し明らかに不足しているのでしょう。

いざ手術室に入ります。戦場のような救急部を通り抜けた後、手術室に恐る恐る入りましたが、

あれ?とてもきれい。手術機器も最新です。

小児外科の手術を見学させていただきました。とても紳士に対応いただき、手術も流れるよう。すばらしい。3例立ち会いましたが、いずれも若手の先生に手術させつつ、指導医の先生が随所で素晴らしいサポート。感動しました。

なお、がんの手術は45万人都市圏のクスコでは行っていない。首都にまで行く必要があるそうです。

さて、2週目、ご好意でクリニックを代えていただくことになりました。というのも、色々な状況を見ることで、なにか自分の中にひらめくのでは?と思ったからです。ようやく慣れてきた先生やスタッフともお別れし、バスで1時間のところにあるチンチェロという街に向かいます。

チンチェロのクリニックは少し大きく、入院設備(三人)あり出産も可能です。救急車の受け入れ設備もあります。

さて、ここで診察の補助・・・となったのですが、対応してくれる先生方はどうやら日替わりの若い先生が交代で来られてる様子。毎日違う先生でした。

現地に帰省中の医学生が、クリニックに滞在し勉強しています。熱い情熱 素晴らしい。付き添いのお母さんの誇らしげな顔、世界どこでもいっしょです。

さて、診察に付いていたのですが、少し違和感がありました。

最初のクリニックでは三人に一人は「病院」に紹介になっていたのですが、ここでは紹介になることがまずありません。診察して処方して帰宅されます。

診察はここでも丁寧なのですが、紹介率の低さが気になります。都市圏まで1時間かかるので、距離的にも心理的にも紹介の壁が厚いのでは?と推測しました。

それと、1週目のクリニックの先生に比べると先生と患者さんの間に距離があります。やはり、ほぼ常勤の先生と日替わりで来られている先生の、親密度や熱量の差?これも紹介するかどうかに影響している気がします。

このクリニックは地域の中核クリニック。地域の連携図によると、このチンチェロから1ー3時間範囲には小規模のクリニックがあるのみとのこと。

2週間ペルーに滞在していて気づいてきたのは、とにかく専門医が地域に圧倒的に少ないということです。現地の方に調査したところ

「45万人のクスコ都市圏で循環器内科医は数人」

「首都のリマに行かないと専門的診察は受けれないが、飛行機代やホテル代、診察料も高くかなりの負担になる。」

「家庭医は足りている。専門医がいない。」

「家庭医になるのに医学部で勉強したあとなれる。その後に専門医になるにはプラス2−3年勉強が必要だが、金銭的にも勉強期間的にも目指す人が少ない。」

(いずれも情報確認中。詳しい情報をご存知の方がいたらお知らせください。)

これらの意見を伺いました。

となると、医療サービスの充足という意味では、

1。家庭医は比較的対応しやすい。専門機器も比較的不要。まずここから充足される。

2。ついで専門的治療。これは費用的にも設備的にも負担が大きく、供給量は限定される。

3。さらに進ませて、がんの治療などは明らかに金銭的・生活的に裕福な人しか都市圏で受けれない。

という構造になっているようです。

平均寿命が短く医療資源が限られた国では、上記の経路で補充されていく。その上で、社会の高齢化が進んでくると「がん治療」「循環器疾患」含む内服だけではすまない専門的治療施設が補われていくようになるのでしょう。

教科書で学んではいましたが、肌で感じることができ 大きな収穫でした。

そして、現地の方達が切望しているのは「専門医へのアクセス」です。

個人的なアイデアですが、これはスマホを駆使すれば進めやすいのではと思いました。

電子カルテはどこの病院にもありませんでしたが、スマホは医療者も住人もほとんどの方が持っています。スマホを有効活用すれば、大掛かりなインフラ導入せずとも社会の連携構造を大きく進ませれるのではと思います。

いろんなことを考えさせられたペルーボランティアでした。

驚きでしたが、ペルーには多くの小さなクリニックに内科と並んで「精神科」がありました。現地の方にお話を聞きますと、ペルーでは精神科がとても多くあり比較的気楽に受診するとのこと。たとえば、学校にも精神科の介入があり子供たちが気楽に受診しているようです。日本のカウンセリングに近い感覚でしょうか。

ペルーはとてもつながりを重んじる社会。家族・友人・社会とのつながりを大事にすることが求められ、それは時に思春期の子供達には強い重荷になることも。うーん、考えさせられます。

ちなみに精神科は多いけど、明るい国民性で深刻な事態になることは少ないそうです。「精神科の早期介入」があるからかかもしれませんし、そうではないかもしれない。いずれにせよ、精神科はインフラ構築などが不要で比較的導入しやすい分野なのでしょう。

こんな感じで2週間のペルーボランティアは終わりました。

強く感じたのは、医療では言語のコミュニケーションがおぼつかないと役に立ちづらい。患者さんの安心感、細かなニュアンス、情報の伝達。スマホの自動翻訳ではやっぱり違う。自動翻訳は、あくまで補助に過ぎません。

小学生でも、挨拶すると目を見て堂々と私に握手しにくる姿を見ると、日本はこのままでいいのかな?とも強く感じました。

ありがとうございました。またスペイン語をみがいて訪ねたいと思います。