僕はAcademic editorをアメリカとヨーロッパの2つの雑誌でしています。もともとレビューはよくしていたんですが、ある時 エディターへの勧誘のメールが来ました。
どうすべきか迷いました。
やり出した後も、何回かやめようかと思いました。エディターを依頼されたらどうする?という内容で検索すると、メリットとして挙げられているのは
①非常に名誉なことである
②名前を他の研究者に覚えてもらう機会である
と書かれています。
ただ、自分にとってのメリットと違うなぁと思ったので、ちょっとまとめてみます。
もちろんそれぞれの立場や考え方で大きく異なるでしょう。あくまで個人的な意見と思ってください。
最大のメリットとしては、
1。決定権がある
これは仕事でも同じですが、言われたことをただやるだけ というのは正直つまらない。やはり仕事の醍醐味とは、自分で決めれる=決定権でしょう。
エディターの権限は思った以上に大きく、 最初の時点でリジェクトするかどうかを決めれます。次に、誰をレビューアーにするかを決めれ、そして最も面白いところですが届けられたレビューをみて、採用するか、修正に行くか、却下するか を決定できます。
印象的には裁判官のような立場でしょうか。 ここでの決定権は想像以上に大きい。
2。 最新の研究の傾向がつかめる
良い論文からダメな論文までいろんな論文が届くので、流行をつかめます。もちろんその情報をパクるのは論外ですけど、 刺激を受けたりトレンドをつかめるのは非常に大きい。
3。 論文を読まざるをえない
僕だけかもしれませんが、 論文を読むのは正直めんどくさい。 論文読むの大好き!な人もいるかもしれませんが、僕は自分の論文の参考論文しか読まないので、知識が凝り固まってしまいます。
しかしエディターをすると、半強制的に義務が発生し、 読まざるをえない。 怠けものの私にはちょうどいい負荷かなと思っています。
では、エディターの辛いところも書きましょう。
1。 レビュアーが見つからないときには心折れる。
エディターの醍醐味でもありますが、辛いところでもあるレビュアー探し。 これは大変です。
私の印象ですが、20人から40人に頼んで1人見つかれば良い方。すなわち、2人レビューアーを見つけるとしたら40人から80人にメールを送らないといけない。
最近の雑誌は候補者の検索システムを発達させていて、かなり楽になっています。
しかしあまり面白くない論文(失礼)、もしくはセンシティブな内容だとほんとに見つからない。PubMedで似たような論文を検索し、著者に片っ端からメールを送ることもよくあります。仕事や育児の隙間時間に必死に送り続けていると、何やってんのかなと虚しくなります。
2。 本当に完全にボランティア。
一円も入りません。人によっては時間の無駄と感じるでしょう。
3。 忙しい時でも容赦なくノルマが訪れる。
超多忙な時は断ることも可能ですが、既に受けていたものや一度あつかった論文のreviseに関しては基本的に断れません。
忙しい時に限って、メールが届きます。 目をこすりながら夜更かし、エディター業務やってると、何やってんのかなあと思います。
エディターに関して ざっくりとまとめてみました。この内容を読んで、やりたい!と思うかは分かりませんが、登山のようなもので辛い面もありますがたまにすごく面白いこともあり、続けています。
周りを見回しても論文を投稿する人はいっぱいいますが、レビューアーはともかくエディターはホントにいない。よく分からない世界で、面白いのではと今回書いてみました。
確実に面白いポイントがあります。少しでも興味があったら、ぜひエディター世界への参入をお待ちしています。
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