ReviseかRejectか:多数決ではありません。To reject or not to reject.

投稿者: | 2023年10月19日

レビュアーのレポートが揃ってからがエディターの真骨頂というか、最も悩ましいけど面白いところです。 レポートに目を通し、改めて論文に目を通し、Revisionに進むかRejectか決定します。

一番簡単なのは、2人のレビュアーが共にReviseの判断の時です。 通常、Revisionに進みます。 2人ともReject の時も、通常Reject に進みます。 ここで「通常」と書いているのは、そうではない場合があるからなんですが、それは後述します。

1人がReviseでもう1人がRejectの時にはどうしたらいいか?これはなかなか悩ましい。一方、エディターの存在意義でもあります。

シンプルな対応方法として、もう一人レビュアーを探します。多数決方式です。もう1人を見つけてその人がReviseだったら2対1でReviseになる、最も分かりやすい方法です。ただ、それまでに2人のレビュアーを見つけるために100人に頼んでやっと見つかったような状況ですと、まぁこれがまた見つからないです。

見つからない時どうするか?ここでエディターの意見が大きく左右します。自分がこの論文はReviseと思うかRejectと思うかです。3人目のレビュアーとして機能するんです。自分がReviseと思う時はReviseで、Rejectと思う時はRejectにできます。もちろん、きちんとレビュアーの意見を汲みつつ、論理的な理由を書く必要があります。

エディターの権限は実はとても大きい。先の多数決も厳密ではないです。「通常」と最初に書きましたが、あくまでレビュアーの意見は参考意見であり、最終的にエディターが決定します。二人のレビュアーがRejectの時も、もしエディターが「この論文がRejectというのは納得がいかない」と思えば、さらにレビュアーを募り意見を集めることができます。もちろん更に追加したレビュアーの判断もRejectだった時に、ゴリ押しでMajor revisionに進むのはいかがかと思いますし、そんな人はさすがにいないでしょう。

なお、レビュアーのMajor revisionもしくはRejectは、実はとても幅が広いので注意が必要です。よく読んでみると、「いっぱい直したら、まぁどうにか載せれるかもしれない・・・」くらいのMajor revisionや、褒めてるような口調で最終的に「え?それで結論Reject?」というRejectとさまざまです。どのくらいの賛成度なのかを読み取って決めないといけない。

科学的じゃないという意見があるかもしれませんが、僕はこういった曖昧な部分は人間くさくて好きなところです。

補足ですが、最初のReviewでAcceptかRejectかの選択はまずありません。ReviseかRejectかです。どんな論文でも、何かしら批判的視点を持ってみると疑問が湧く。そして、その疑問にちゃんと著者が誠意を持って答えてくれるかが、再提出時のAcceptの判断材料になります。

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