レビューは何でそんなに時間かかるの? Why is the review process time-consuming?

投稿者: | 2023年10月31日

論文を投稿したことがある全ての人がおそらく思っただろう事。

レビューなんでそんなに時間かかるの?

という嘆きの声でしょう。ほとんどの研究者は、

グラントの申請に間に合わせたい、早く学位審査に進みたい、昇進と絡んでいる、

と様々な時間的制約のもと動いています。

私も何度も思ってきました。1か月くらいならともかく、半年待ったこともあります。「忘れられているんじゃないだろうか?」との疑念から問い合わせのメールを送ることもありますが、しかしあまり急かすようなメールを送って、エディターの心証を損なうのも考えものです。

ただ、散々待たされた挙句、Rejectだと怒りを誰にぶつけたらいいやら。

エディターをしてみると、なぜ時間がかかるかは腑に落ちました。どうしても1か月から2カ月はかかるものだと思います。

ただし、本当にほったらかされている危険もありますので、個人的には1か月半過ぎたら確認のメールを送ってもいいと思います。

なぜ時間がかかるのか?最大の理由は、すべてボランティアだからでしょう。

学術論文の世界において、レビュアーというプロの仕事はありません。

レビュープロセスを、もう一度まとめてみましょう。

1 雑誌に論文が投稿される。Editor-in Chiefが確認し、アカデミックエディターを探し、複数人に依頼のメールを送る。 (1日ー1週間)

2 引き受けたエディターがレビュアーを探す。(2日ー1ヵ月)

3 レビュアーが論文を審査する。(1日ー10日間)

4※ 期限までに提出しないレビュアーに、催促し提出 (3日ー10日間)  ※オプション、ただしほぼ必発

5 エディターがデシジョンを判断する。(1日ー7日間)

6 Editor-in-Chiefが正式にデシジョンを決定する。(1日ー7日間)

この流れで行けば、最短ですと6日間です。しかし冷静に考えていただくと、まず不可能でしょう。

かつレビュアーは通常1人ではなく、2人以上です。 全てが奇跡的に進んで、早くて2週間が限界。2か月かかるのもやむを得ないでしょう。

しつこいですが、上の1−6の過程ででてくる人はすべてボランティアです。出版社に雇用されている編集者も随所随所で動いてくれますが、重要な決定事項はボランティアによってなされています。本業の傍らに、善意か趣味か、科学界向上のための使命感で時間を割いているわけです。 当然、まずは食って行くために本業を優先します。

ただし、3ヶ月は長いと思います。 しかしその場合も、忘れ去られてではなく、レビュアーに断られ過ぎてエディターが心折れているケースをお見受けします。

このプロセスをいかに早くしていくか?もし、レビューの遅さにイラついている研究者がいて、していただきたいことは

1。レビューの依頼を引き受け、できるだけ早く仕上げる。

2。レビュー依頼のメールには迅速にAcceptかDeclineか返事をする。

という、一人一人の小さいですが地道な努力の積み重ねかと思います。

情けは人の為ならず。ともに科学界の向上のために協力していきましょう。

関連記事

レビューは何でそんなに時間かかるの? Why is the review process time-consuming?」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: レビュー期限を過ぎた時の対処:ちゃんと返事ぐらいしてよ When the review deadline passes. – 外科医は子育てと研究の夢を見るか Does Daddy-Surgeon Dream of Research?

コメントは停止中です。