論文を投稿したことがある全ての人がおそらく思っただろう事。
レビューなんでそんなに時間かかるの?
という嘆きの声でしょう。ほとんどの研究者は、
グラントの申請に間に合わせたい、早く学位審査に進みたい、昇進と絡んでいる、
と様々な時間的制約のもと動いています。
私も何度も思ってきました。1か月くらいならともかく、半年待ったこともあります。「忘れられているんじゃないだろうか?」との疑念から問い合わせのメールを送ることもありますが、しかしあまり急かすようなメールを送って、エディターの心証を損なうのも考えものです。
ただ、散々待たされた挙句、Rejectだと怒りを誰にぶつけたらいいやら。
エディターをしてみると、なぜ時間がかかるかは腑に落ちました。どうしても1か月から2カ月はかかるものだと思います。
ただし、本当にほったらかされている危険もありますので、個人的には1か月半過ぎたら確認のメールを送ってもいいと思います。
なぜ時間がかかるのか?最大の理由は、すべてボランティアだからでしょう。
学術論文の世界において、レビュアーというプロの仕事はありません。
レビュープロセスを、もう一度まとめてみましょう。
1 雑誌に論文が投稿される。Editor-in Chiefが確認し、アカデミックエディターを探し、複数人に依頼のメールを送る。 (1日ー1週間)
2 引き受けたエディターがレビュアーを探す。(2日ー1ヵ月)
3 レビュアーが論文を審査する。(1日ー10日間)
4※ 期限までに提出しないレビュアーに、催促し提出 (3日ー10日間) ※オプション、ただしほぼ必発
5 エディターがデシジョンを判断する。(1日ー7日間)
6 Editor-in-Chiefが正式にデシジョンを決定する。(1日ー7日間)
この流れで行けば、最短ですと6日間です。しかし冷静に考えていただくと、まず不可能でしょう。
かつレビュアーは通常1人ではなく、2人以上です。 全てが奇跡的に進んで、早くて2週間が限界。2か月かかるのもやむを得ないでしょう。
しつこいですが、上の1−6の過程ででてくる人はすべてボランティアです。出版社に雇用されている編集者も随所随所で動いてくれますが、重要な決定事項はボランティアによってなされています。本業の傍らに、善意か趣味か、科学界向上のための使命感で時間を割いているわけです。 当然、まずは食って行くために本業を優先します。
ただし、3ヶ月は長いと思います。 しかしその場合も、忘れ去られてではなく、レビュアーに断られ過ぎてエディターが心折れているケースをお見受けします。
このプロセスをいかに早くしていくか?もし、レビューの遅さにイラついている研究者がいて、していただきたいことは
1。レビューの依頼を引き受け、できるだけ早く仕上げる。
2。レビュー依頼のメールには迅速にAcceptかDeclineか返事をする。
という、一人一人の小さいですが地道な努力の積み重ねかと思います。
情けは人の為ならず。ともに科学界の向上のために協力していきましょう。
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